立方体の地位向上を試みる – ネフ社セラパターン集

セラ

通常の積み木において、立方体という形は、直方体と並んで最もスタンダードな形のうちの一つです。

積み木セットとして売られている商品の中には、直方体や立方体以外に、円柱や三角柱の積み木が含まれている場合がありますが、円柱や三角柱の積み木が別になくても困らないのに対し、直方体や立方体の積み木がなければ、積み木遊びの楽しさは激減してしまいます。

そんなわけで、立方体(や直方体)は特別な形なのです。

ところが、ネフ社のセラでは、それが少々様相が異なります。

と言いますのも、セラを構成している九つのパーツのうち、立方体だけがその形状が他の八つのパーツ(平板直交パーツ)と異なるからです。

【セラのパーツ】

立方体以外の8個は、3枚の板をお互いが直交するような形で構成されています。
この独特な形状により、普通の積み木では不可能な「斜め積み」を可能にしています。

さて、私がセラで遊んでみると、平板直交パーツの組み合わせ方を試行錯誤することがほとんどで、立方体はパターンが完成してから、テキトーな置き場所を探して、チョコンと乗せるぐらいです。

パターン作成途中で使う場合でも、他のパーツの高さ調整に使うため、パターンの内側に閉じ込められてしまい、立方体の存在に分かりません。

これでは、「積み木の王様」を自負している立方体があまりにも不憫です(涙)。

おまけに、平板直交パーツは、どれ一つ失くなっても致命的なのに対し、立方体のパーツは、失くなっても100円ショップで角材を購入すれば代用出来てしまいます。
これも、セラ構成パーツの中で立方体が軽んじられる要因の一つになっていると思います。

立方体の地位向上のためには、ありきたりの場所ではなく、かつ、その置き場所に意義があるという場所に立方体を置く必要があります。

セラを再入手してから、毎日時々、そのことを考えていたのですが、ようやく一つのパターンにたどり着きました(これが正解かどうかは分かりませんが)。

以下、立方体が1番、一番大きい積み木が9番です。

【作り方】
7番、8番、5番を六頂点設置積みにします。
そして、3番積み木を8番積み木の凹みにポコンとはめ込みます。

4番と2番をポン!ポン!と置きます。

9番積み木をひっくり返して乗せます。

6番積み木をかぶせて乗せます。

さあ、これで準備は整いました。
あとは、立方体をどこに乗せるかです。

一番ありきたりなのは、一番高いところに乗せる方法です。

これでもパターンとしては見栄えがしますが、この位置に置くのは別に立方体でなくても代替可能です。たとえば、ルービックキューブなんかを置くこともできるし、見栄えとしては、こちらの方が圧倒的に上です。

ドーン!

これでは、立方体の地位向上は望めません。

こんな風に9番積み木の凹みに置くのは、もっとダメです。(>_<)

立方体が見えるアングルでパターン全体を見ようとすると、ずんぐりむっくりしてしまい、このパターンが持つ美しさ(と、個人的には思っている)を殺してしまいます。

ここへ置くのなら、むしろルービックキューブの方が適しています。

これでは、地位向上どころか、地位が下がってしまいます。

こんなところへ置くのも、ぱっとしません。

なんか、いかにも「おうっ、お前の居場所なんてないから、テキトーにそこらへんに座ってろい!」と言われているみたいで、ますます立方体が不憫でなりません。

しかし、このパターンには、とっておきの置き場所がありました。
それが、ここです。

ジャジャーン!

他のパーツにおおい隠されつつも、完全には隠れていないという絶妙さが、立方体の奥ゆかしさを表現しており、地位向上につながっていると思います(ほ、ホントか!?)

それに、この位置にどでかいルービックキューブを置くことは不可能。
まさに、2センチ角の立方体専用の場所と言っても過言ではありません。

また、立方体が見えるアングルからパターン全体を見たときの美しさも損なわれていません。

立方体の地位向上を見届けた私は、胸をなでおろし、心の奥底に言葉にできない達成感が充満するのを感じるのでありました。

by 積みキチ三平


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